ラフ族が教えてくれた物がない豊かさ

タイ北部の山岳民族、ラフ族の村で学んだ”物を持たない豊かさ”とは。

タイに住んでいたときに、ラフ族のコーヒー農園でインターンシップをした。

コーヒーが好きすぎて、コーヒーの生産過程も学びたいと思ったからだ。

コーヒーのあれこれはかなり長くなりそうなので、また別の記事で書くこととする。それよりも、ラフ族のライフスタイルが私にとって貴重な経験だった。その中でも料理と洗濯について書いていく。

キッチン

キッチンには、日本では当たり前の冷蔵庫と電子レンジがない。もちろんオーブンやトースターなんてものはない。ガスはあるのでフライパンと鍋のみ。

ではどうやって料理して食事をしているのかと思うだろう。答えは至ってシンプル。

毎回ご飯を作って完食すること。

ただそれだけ。

ご飯は毎日炊く。野菜は畑から取ってくる。卵は鶏が産んでくれる。お肉は買ってくるか、飼っていた豚さんを頂くこともあった。

毎回食材を揃えて調理するから冷蔵庫はいらない。そして作り置きすることもなく温め不要なので電子レンジもいらない。もちろん冷凍食品なんてものはない。

タイも日本と同様に電化製品はある。

コーヒー農園の利益で冷蔵庫や電子レンジを買うこともできる。でも単純に必要ないのだ。

タイに2年以上住んでからこの村に行ったけど、このシンプルなキッチンには驚きよりも人間の本来の生活というものを感じだ。まだまだタイのこと知らないなとも思った。

調味料

ラフ族のみなさんが作ってくれるご飯が毎食おいしい。タイ料理屋さんで出てくるような名前がわかる料理は一つもないけれど、素朴でおいしい。

どうやったらこんなにおいしい味になるのか気になって何の調味料を使ってるか聞いてみたら、塩と唐辛子だけらしい。

それでこんなにおいしいのですか…!とびっくりした。素材が新鮮でおいしいのはもちろん、たくさんの調味料なんて本当は必要ないのかもしれない。

調味料だって買おうと思えば買えるのだけど、この村では必要ない。人間、物があればあるほど欲が出てあれもこれもと欲しくなってしまう。この村にいたらずーっとシンプルな生活でいいんだなと感謝しながら毎回ご飯を頂いた。

洗濯

洗濯機はない。たらいで手洗い。昭和感漂っていたけれど、手洗いする時間も余裕もあるし、天気がいいからすぐに乾く。キッチン用品と同様にこの村で洗濯機は必要ない。


コーヒーのことを学びに行ったのに、ラフ族の生活から人間本来のあり方を学んだ。日本は物で溢れていて、次から次へと新しい物ができてくる。何でもあれば便利でつい欲しくなってしまう。

でも、物を持たなくても生活できるし、物がないということはそれに頼らないこと。自分でなんとかできること。それはとっても豊かなことなんじゃないかと思った。

村自体は日本の昭和のような、時が止まっているような雰囲気だった。

きっとこの先何年経っても変わらないだろう。


今の日本での生活ではラフ族の生活のようにはいかず、ご飯は作り置きしてを冷蔵庫と電子レンジをフル活用し、洗濯機に頼っている。

これらの家電がなかったら、今の生活は厳しい。

でも、日本の生活でもできる限り物を持たないように心がけている。

●掃除機は持たず、ほうきとちりとり。

●テレビはない。観たいと思わない。

●レトルト食品や添加物たっぷりの調味料はなるべく買わず、シンプルな調味料にする。

●洋服は一軍のみでシーズン分をクローゼットのハンガーにかけられるだけ。

なにより物欲がなくなった。壊れたら買うぐらい。だから、ウィンドウショッピングもしないし、セールだからと買うこともなくなった。


私は日本でもラフ族の村で学んだ”物を持たない豊かさ”を忘れずに生活していきたい。

またいつか村に遊びに行って、その生活を共にできますように。